【保健師と先生のことばに揺れた日】OT相談で見えた「できない理由」|療育リアル体験記②

前回の記事では、「うちの子、ちょっと違うかも…?」と気づいた保育園のお迎えエピソードについてお話ししました。
今回はその後、健診や保育園の先生から受けた声かけをきっかけに、初めて「OT相談(作業療法)」に足を運んだときのことを振り返ります。
当時の私は、「支援って何?」「OTってどういう意味?」と戸惑うばかりでしたが、息子の“できない理由”が少しずつ見えてきた、大きなきっかけの日となりました。
「また再検査? うちの子だけ、どうして……」
乳児健診で言われた ST(言語聴覚士)の先生のひと言に、胸がざわつきました。
検査の多さに戸惑う私に、保健師さんが紹介してくれたのは “OT(作業療法)個別相談”。
「この市の OT 相談は本当にいい先生がいるんですよ」
そう背中を押してくれたのは、保育園の担任の先生でした。
それでも当時の私は、我が子の状態をほとんど理解できていなかったのです。
OT相談当日──トランポリンとブランコが並ぶ部屋で
部屋いっぱいに並んだトランポリンや平均台を見た瞬間、息子は大喜び。
ところが OT の先生が用意した “わざと不安定なブランコ上のボール取り” というミッションになると、一気に動きが止まりました。
怖い。バランスが取れない。手が出ない。
できないことが、次々と浮き彫りになっていきます。
「頭ではわかっている。でも体がついていかない」
面談の最後、先生は静かにこう分析してくれました。
「体幹が弱くて不安定な姿勢が怖いんです。だから“やらない”のではなく、“できない”んですよ」
その言葉を聞いて、初めて腑に落ちました。
「息子はわざとサボっていたわけじゃない」――そう思えた瞬間、胸がスッと軽くなったのを覚えています。
保育園との連携で、見えてきた次の課題
OT 相談のレポートを保育園に共有すると、担任の先生はすぐに対応を変えてくれました。
- 平均台は幅を広くしてチャレンジ
- ブランコは足がつく高さからスタート
相談前よりずっと深い話ができ、支援が具体的に。
しかし――
小学校入学が近づくにつれ、会話には 「支援級」 という言葉が混ざり始めます。
「学年10人のうち、支援級が1人だけ……。いじめられない? 浮いてしまわない?」
頭では必要だとわかっていても、母としての不安は大きくなるばかりでした。
▶︎ 次回予告
“支援級か、普通級か”――初めて突きつけられた選択。
私が悩み抜いた末に出した答えと、そのとき支えてくれた言葉をお話しします。